ありがとう

―私の音はあなたに聞かれたがっている。だから、どうかこれからもずっと―

あなたは私の音を奇跡みたいに言うけれど。
ほんとうはきっと、あなたのほうが奇跡なんだよ。


あなたが世界中にあふれる音の中から私の音を見つけてくれたこと。
私のヘタクソな演奏を好きだと言ってくれたこと。
そして、私を愛しているといってくれたこと。


あなたと出会えたこと、全てが私にとっては奇跡なの。
信じられないほど幸せな、夢みたいな奇跡。

そんな奇跡の人は今、碧い瞳をまぶたで隠して私の肩にもたれるように小さな寝息を漏らしている。
恋人になって初めての誕生日は、二人だけでゆっくり過ごしたい。
そんなあなたの願いに応えて、今日はあなたの部屋で私が焼いたちょっと不恰好なケーキを囲んでハッピーバースデーを歌って、二人でたくさん話をして、前から見たいといっていたDVDを見て。
そんなありきたりだけど幸せな緩やかに流れる時間を思う存分堪能して、いつの間にか眠ってしまった愛しい人の金の髪を優しく手櫛で解きながら、そっとささやくように語りかける。


「ねえ、加地君・・・」


あなたがいたから、私は頑張ってこれたんだよ。
私があなたにどれだけ励まされてきたか、あなたの優しさにどれだけ救われたか。
感謝の気持ちをいくら言葉で伝えようとしても、きっとあなたは謙遜して認めようとしないだろうけれど。
でもお願い。
今日だけはどうか言わせてね。


私の音はあなたに聞かれたがっている。
私の全てがあなたに惹かれている。
だから、どうかこれからもずっと。
私のそばにいてください。
あなたという奇跡が生まれた18年前のこの日に感謝をこめて。


「ありがとう」


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